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スクープ

酔っぱらって電気を消そうとして台からずり落ちて足首を折るという喜劇のニュースが人々の心を和ませたばかりのこの時期に、匿名のタレコミを入手した

一刻も早く情報を確認すべく、客先での打ち合わせが終わったその足で噂の現場へと駆け付けた

その収容所は池上線蓮沼駅からすぐ近くにあり、やっと見付けたターゲットはかつての輝かしい姿からは想像できないほど落ちぶれたものであった

嫁にも息子たちにも見捨てられた男は寂しくカーテンに仕切られたベッドの上で佇んでいた……ただ佇んでいた……

石橋貴明にして「サッカーもあんな下手なのに、生き方がもっと下手打っちゃうんだよなぁと思って」と言わしめた男の右肘は折れていた

吉田拓郎を思い起こさせる風貌の彼は突然の取材に当初は戸惑ってはいたが次第に重い口を開き転落の人生をポツリポツリとウサギの糞のように語りだした…

私がこの原稿を書き上げている、金曜日の午前中まさにその瞬間に彼は手術台に上がり、全てを受け入れていることだろう…

収容期間のこの後の残り1週間で彼の元を家族が訪れることはあるのだろうか…

収容所:蓮沼 本多病院より